スピン創発機能研究ユニット

主宰者

主宰者名 関 真一郎 Shinichiro Seki
学位 工学博士
役職 ユニットリーダー
略歴
2010東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 博士学位取得
2010同 量子相エレクトロニクス研究センター 特任助教
2012同 特任講師
2012科学技術振興機構 さきがけ研究者(-2016)
2013理化学研究所 創発物性科学研究センター 統合物性科学研究プログラム スピン創発機能研究ユニット ユニットリーダー (現職)

研究室概要

電子が秘めた「スピン」の自由度を積極的に活用する技術体系はスピントロニクスと呼ばれ、革新的な機能・高いエネルギー効率を伴った情報素子を実現するための切り札として大きな注目を集めている。これまで、スピントロニクス材料として用いられる物質は単純な強磁性体(いわゆる「磁石」)に集中してきたが、当ユニットではこの分野に本格的な固体化学・物質科学の視点を持ち込むことで、(1)粒子性を持ったナノサイズのスピン渦(スキルミオン)、(2)電場による磁性の制御、(3)エネルギー非散逸な情報媒体としてのスピン流、といった先端概念の組み合わせが可能な舞台を新たに設計し、超低消費エネルギーな磁気記憶・演算素子の実現に資するような新たな基盤技術・基礎学理を構築することを目指す。

研究分野

物理学、工学、化学、材料科学

キーワード

スピントロニクス
マルチフェロイクス
強相関電子系

研究紹介

電場で制御可能なナノスケールのスピン渦(スキルミオン)を発見

電子は電荷とスピンという2つの自由度を持つ粒子であるが、従来の半導体エレクトロニクスは電荷の自由度のみを利用しており、より画期的な性能を求めてスピンの自由度を積極的に活用する試みが盛んに行われている。最近になり、一部の特殊な金属の中で、電子のスピンが自発的に「スキルミオン」と呼ばれる渦巻き状の構造をつくることが発見された。スキルミオンはナノスケールの粒子としての性質を持つため、次世代の演算・記憶素子における新しい情報担体として期待されているものの、現象の舞台となる新物質の発見や、その制御手法の確立が大きな課題となっていた。

我々は、右手と左手のように、鏡写しにした像を互いに重ねることができないキラルな結晶構造を持つ絶縁体Cu2OSeO3のスピン構造をローレンツ電子顕微鏡で直接観察した結果、世界で初めて絶縁体中でスキルミオンを観測することに成功した。さらに電気的な測定を通じて、スキルミオンが電気分極(正負の電荷の組の整列状態)を引き起こしていることを発見し、電場でスキルミオンの位置を自在に制御することが原理的に可能であることを明らかにした。絶縁体中の電場には、発熱によるエネルギー損失を生じないという利点がある。上記の発見は、エレクトロニクスの根幹である電子の制御手法に、よりエネルギー効率の高い新しい選択肢を加えるものであり、次世代の超低消費電力演算素子・磁気メモリ素子の開発につながることが期待される。

キラル絶縁体Cu2OSeO3の結晶構造と、電気分極を伴ったスキルミオンの模式図

メンバー一覧

関 真一郎 Shinichiro Seki

ユニットリーダー shinichiro.seki[at]riken.jp

高木 里奈 Rina Takagi

特別研究員

Khanh Nguyen

特別研究員

研究紹介記事

  • 2016年11月18日 RIKEN RESEARCH Switched-on skyrmions
    A lattice of magnetic vortices can be created or destroyed simply by applying an electric field
  • 2015年03月06日 理研ニュース 新しい電磁気学を切り拓くスキルミオン
    2010年、理研創発物性科学研究センターの于秀珍上級研究員らは、磁石の中でたくさんの電子スピンが渦状に並んだ構造「スキルミオン」の直接観察に世界で初めて成功した。
  • 2014年10月17日 RIKEN RESEARCH Light finds a one-way street
    A multiferroic material displays a novel spin structure that allows light to travel in only one direction
  • 2014年03月20日 RIKEN RESEARCH Dance of the skyrmions
    Turning magnetic whirls using an electron beam